Melody Thought
[Review]
「PRILLMAL と DOGEAR で想い出を作りましょう!」
そんな電話越しの会話から、構想 ~ 制作に至るまで、このプロジェクトへ一年ほどの時間を大切に掛けてきた。SOUL に JAZZ や REGGAE を PLAY するときにも、その選曲にどこか HIPHOP の洗練された都会のエッセンスを感じさせてくれて、何度となくフロアの端で心を射抜かれては、知ってる曲も知らない曲もその背景込みで聞こえてくる楽曲達に、GRINGOOSE
氏のメロディに対する審美眼に、自分はどれほど感銘を受けてきたことだろう。代官山で聴いた Leon Haywood、下北沢で聴いた Phat Kat のインスト、門司港で聴いた I Do Love You と Let Me Prove My Love To You、MIX の最後に収録されていたOn a Sunday...「HIPHOP はゴールドだよ、だから GRINGOOSE
は金歯があるでしょ?」「GRINGOOSE が一番好きなアーティストは J Dilla
らしいよ」数々のそんな都市伝説めいた話題の一つ一つに答え合わせをさせてもらいながら、制作の期間、それはあまりに有意義で貴重だったと言える時間を過ごさせてもらった。紡がれるサンプリングされたメロディ、ラッパーやシンガー達が歌うメロディ、レイドバックしたベースラインが奏でるメロディ、ザラついたノイズと重なるメロディ。この MIX のデモプレイを聞かせてもらっている時、ターンテーブルに向かう
GRINGOOSE 氏の背中越しに何度も ISSUGI と目を合わせて頷き合った。それは自分達があの時代に吸い込んでた空気と、目の前で起きている最高とが、間違い無く繋がっていた事を確信した瞬間だったから。DOGEAR から GRINGOOSE 氏に掛けたスペシャルオファー、それは自分達がどっぷり浸かり包まれていたあの頃の空気や香りをパックした 90 年代の HIPHOP/R & B の
MIX。全てのヘッズに捧げる 60minutes.
仙人掌
HIP HOP とは何か? ラッパーも DJ もダンサーもライターも、そしてリスナーの一人一人すらもが、そんな大きなテーマについて考えている時代があった。憧れの地であったNY。黒と黄色の集団の総帥は、歩き方から考え方、立ち振る舞いにクソの仕方まで、生き様の全てが HIP HOP
なんだと教えてくれた。東京にも脈々と受け継がれているものがある。ただの音楽やテクニックの話しじゃない。スタイルとスタンスの話し。何を手に取り、何に中指を立てるか。GRIN GOOSE はいつもそういうことを教えてくれる。歴史と積み重ね。日々の反復の中にある STRUGGLE と MELLOW な瞬間。GRIN GOOSE
がレコードに針を落とし、紡ぎあげたタフなメロディーは時間も空間も超えて鼓膜を揺らす。聞き慣れた楽曲の数々も、少し違って聞こえる。そんな mixが“Melody Thought”だ。
山下丸郎(stacks bookstore)